「ね、ね、にい」
真樹が声をかけてきたのは、丁度俺が360円の大盛カレーを食べ終えた時のことだった。昼食代として母親から450円を貰っているから、これで今日は90円分潤ったことになる。
真樹は俺のことを「にい」と呼ぶ。いつからそうだったのかはもう覚えていない。
隣の空席に真樹が座った。俺はコップに残っていた水をゆっくりと飲み干してから、彼女の方に目を向けた。
「あのね」俺の視線が自分の方にあることを確認してから、真樹は言った。「ちょっと変わったメールが届いたんだけどさ」
「そ」
俺の素っ気ない答えをどう取ったのか、真樹は何も言わず手に持っていた携帯を俺に差し出した。その変わったメールとやらに興味は沸かなかったけれど、俺は一応それを受け取った。
校則では持って来てはいけないことになっている携帯電話だが、そんな規則をいちいち守っている生徒なんて学校中探してもそう簡単には見つからない。
「変なとこ見ないように」
真樹の言葉に俺は返す。
「でも見て欲しいのは変なものなんだろ?」
「あ」真樹はくすりと笑って言った。「確かに、ね」
受け取った携帯の画面を見る。そこには真樹の言う変わったメールとやらが映し出されている。
なるほど、と俺は思った。
「確かにこれは変わったメールだ」
「でしょう?」
送り主の欄には数字が並んでいる。十一桁。
彼女にそんな変わった名前の友人がいるとは到底思えないから、それは電話番号と考えて間違いないだろう。
「ショートメールなんて随分久しぶりに見た」
俺は正直な感想を口にした。
「うん、私も」
通常のメールアドレスでなく携帯番号を使って相手へ送るものをショートメールという。
長ったらしいアドレスを知らずとも番号だけでメールを送ることができるが、通常これを使う人間はいない。名前の通り極短いものしか送ることができない上に、電話料金分の値段がかかるからだ。
「それに」
俺はもう一度画面を確認してから言った。
「こんな内容のメールも、久しぶりに見る」
「久しぶり?」
真樹は怪訝そうに聞き返した。俺はそれに答える。
「そう、久しぶり。具体的には」
俺は自分の携帯をポケットから取り出して、いつか届いた、あるメールを探した。
しばらくの間受信箱を潜り続け、317件目にそれを見つけた。
「このメールが届いたのが三月八日。だから、ちょうど二ヶ月ぶりか」
そう言って、俺は自分の携帯を真樹に渡した。
「ああ」真樹は画面を見てくすりと笑った。「なるほどね」
俺が彼女に見せたのは、いわゆるスパムメールというやつだった。
夜の相手を探してます。詳しくはこのサイトで。
「確かに、これはよく似てるみたい」
彼女はくすくすと笑い続ける。
俺は三度彼女の携帯に目を落として、そこに並ぶ文字を数えてみた。
2、4、6……14。
たったの14文字。
なるほど、確かにそれはショートメールと呼ぶに相応しいようだった。
『友達になってもらえませんか?』
14文字の涙
学食を離れても、真樹の興味はそのメールから離れないようだった。
「ね、これどうしようか」
「放っておけばいいだろ」
よくあるスパムメールとは少し違うようだ、という見解は俺と真樹の間で一致していたが、それ以降は全くの正反対だった。
俺の思考はそこで停止した。真樹のところに変わったメールが届いた。ただそれだけのことで、それ以上先は俺の中には無かった。
「そういうわけにはいかないよ」
対して、真樹はそのメールに強く惹かれたらしい。結構なことだ、と俺は思う。
「じゃあどうする? まさか返信はできないだろ?」
「ううん。やってみようかな、って」
楽しそうに言う真樹。
たまらず、俺はため息をついた。呆れた、というのが一番しっくりとくる表現だ。
「真樹、お前な」
「うん、なに?」
何と言おうか少し迷って、俺は端的に言葉を選んだ。「バカだろ?」
「うわあ」真樹は言った。「いくらなんでもそれはひどいって」
非難の声を俺は当然無視する。
バカにバカと言うことが罪になるのが世界なのだとしたら、当時エジソンを愚かと罵った教師はその場で首でも吊らされたはずだ。もちろん、俺はそんな話を聞いたことがない。
「明らかに怪しいと分かってるものに飛びつく奴を世間ではバカと評するんだよ」
「でもさ」真樹はやはり楽しそうだった。「ほら、よく言うじゃん? 虎穴に入らずんば虎子を得ず、って」
はぁ。俺はまたため息をつく。
「虎子なんて手に入れてどうする? 焼いて食うか?」
「それはものの例えじゃん」
皮肉は通じなかった。ふぅ、ともう一つため息。
「で、お前は虎子の代わりに何が欲しいわけ?」
「えーと」
少し考えて、真樹は言った。
「ワクワクとドキドキ?」
「バカ」
頭が痛くなったので、俺は自分の教室に向かった。
「でもさ、私考えたんだけど、実際そんなに危険なわけでもないよ? スパムならお金のかかるショートメールで送られるはずないしさ」
放課後。部室に行く途中で真樹につかまった。
真樹は未だ例のメールにご執心のようだった。
「そんなの最初から分かってる。問題なのは、送り主の正体が分からないってことだろ。とてつもなく危ない奴だって可能性もある」
「んー、でも」真樹は言う。「仮にそうだとしても、こっちの番号だけじゃ相手は何もできないじゃない」
「じゃあお前は、例えば連続殺人犯に携帯の番号を知られても構わないと?」
「ていうか、番号自体はもう知られちゃってるわけよ。そうでしょ?」
確かにそれは真樹の言う通りだった。
送信者からすれば、ショートメールが返って来ることなくきちんと送り届けられた時点で、その番号が存在するものだということは確認できる。
「それに、いざとなれば携帯の番号を変えればいいだけのことだしね」
携帯の番号を変える手間と、真樹が言うところの「ワクワクとドキドキ」との価値は、恐らく彼女にとって比較するまでもないことなのだろう。
普通ならそれでも恐怖とか嫌悪とかそういった感情が残るはずなのだが、そもそも真樹に普通を期待してはいけない。それぐらいのこと、真樹と三日も近くで過ごせば誰にでも分かることだった。
だから、それ以上、反対するための言葉が見つからなかった。
「はぁ」ため息をついて俺は言う。「分かった。分かったよ」
以後の言葉が負け惜しみのようになるのは仕方が無いことだった。
「でも、絶対にこっちの情報は与えるなよ? 住所なんかは以ての外、名前とか、できれば年齢や性別も教えない方がいい」
「にい、どこの堅いセンセイよ」
言って、真樹はくくく、と忍ぶようにして笑った。
俺は構わず部室に行くことにした。
サッカー部での活動を終え、部室で制服に着替える。ポケットの中から携帯を出して画面を確認した。
『新着メールあり』
相手はだいたい分かっていた。ボタンを押して新着メールを開くと、そこには予想通りの名前があった。
『真樹』
もう一度ボタンを押して、本文に進む。
早速返信してみたんだけどさ、「友達ってどういうことですか?」って文面で。まだどんな人か分かんないし、こっちもショートメールなわけだからそんなに長い文は送れないしね。
で、すぐに返信来たのよ。ほんとこっちがびっくりするくらいすぐ。「ありがとうございます。正直な所、返信を貰えるとは思っていなかったので、すごく嬉しかったです。」だって。容量ギリギリなところなんか私的プラスだね。一生懸命に内容を考えてる姿が見えて来ない?
そっからも何回かやり取りしたんだけど、どーも普通にいい子みたい。中学三年、携帯を買って貰ったのが嬉しくて、とにかく誰かにメールを送りたかったんだと。私の他にも四人ぐらい適当な番号で送ったんだけど、返ってきたのは私だけだったんだって。まあそりゃそうよね。
あ、もち、まだ全部信じてるわけじゃないし、こっちのことはそんなに話してないから安心なさってね、セ・ン・セ・イ。
ふぅ。俺は軽く息をついた。少しは安心できた、というのが本音だった。
返信はしなくてもいいだろう。家で直接話せばいいことだ。俺は携帯を閉じる。
「先輩、何か随分と長いメールだったみたいすけど、もしかして彼女すか?」
画面がたまたま見えてしまったのか、それとも故意に覗こうとしたのか、ある後輩がそんな面白い冗談を口にした。
「お前なら」
何と表現したものか考えて、俺は昼間真樹が言ったことを思い出した。
「虎の棲んでる穴に大した目的も無く入っていって、あまつさえその中でけらけら笑い声を響かせてるような、そんな女、恋人にするか?」
「まさか。俺、普通の青春を送りたいっす。虎との決闘なんて考えたくもありません」
「そうか」
俺は言った。「残念だ」
「で、電話はしてくるなってことだったんだけど」
「好都合だろ、お互い」
登校中に真樹の口から出てくるのは、やはりメールのことだった。
既にアドレスを教え合って、本格的にやり取りを始めたらしい。
これで迷惑メールが一気に増えるかもな、と正直な気持ちを口にしたら、何が気に障ったのか拳で殴られた。
「その子ね、女の子だって言ってるんだけど、でも本当は男の子じゃないかと思うんだ」
わざとらしく人差し指を立てて、真樹は推論を語った。
「電話をするとそれがバレるから、電話は禁止だと?」
「うん。多分そうじゃないかな。女の子にしては、ちょっと乙女の知識が足りないみたいだし」
「乙女?」おかしな単語に俺は反応した。「お前が言うことじゃないだろ」
無言で殴りかかってきた拳を、今度はきっちりと受け止めた。
「でも、まあ」
俺は話を戻すことにした。
「男だろうと女だろうと、別に変わらないだろ。会おう、なんて言ってきたらちょっと問題だけど」
「ま、ね」と真樹は言った。「男だとこっちが警戒するって考えたのかも」
何となくそれは違う気がしたけれど、口にはしなかった。確証は何もない。
「でもさ」
真樹は空を仰いだ。
降水確率五十パーセント。逃げとしか思えなかった。
「向こうの言い分を信じるとして、よ?」
雨が降るのかそれとも降らないのか、本来ならそこには百と零しか存在しないはずだ。
人間が関わるとだいたいのことは曖昧になる。俺は経験則としてそれを知っていた。
「初めて買ってもらった携帯。初めて送るメール。一つずつ番号を押していって、それが届くことを祈って。ねえ、それってどんな気持ちなのかな?」
よく分からなかった。
普通初めてのメールを、誰に届くとも知れない、そもそも届くかどうかも分からないような方法で送ろうとはしない。だいたいの人間はそれを友人に宛てて送るものだ。それが確かに届くことを知って。
だから俺には、真樹にメールを送ったやつの気持ちがよく分からなかった。期待? 不安?
「多分さ」真樹は言った。「寂しかったんだろうね」
寂しい。そんな気もした。
分からないから、想像するのは自由だ。
「かもな」
学校が見えたので、俺たちは別れてそれぞれの友人を探した。
二月が経っても、真樹と「彼女」とのメールは続いていた。
真樹は毎日のように彼女とのメールを俺に報告してきたから、俺は彼女のことを真樹と同じぐらいよく知ることになった。コンビニで買えるような安いプリンが好きで、最近やっとタイタニックをDVDで見て、それで泣いて、身長は昔から低い方で、O型だけどよくA型みたいだと言われる。
相手の方もそれを俺が知っていることは了解していて、代わりに真樹はよく俺のことを話題にするらしい。勝手なことだ、と思ったが、別に俺は何も言わなかった。迷惑だとも思わなかった。
二人は互いに、電話をかけないという約束を守っているようだった。
真樹も、もう彼女が男だとかそんなことは口にしなかった。今でも彼女は、「彼女」のままだという。
思うことがあった。どうして電話をかけてはいけないのだろうか。でも、俺はそれを表にはしなかった。
ある日のこと。
「ね」真樹が話しかけてきた。「あの子が、にいの番号を知りたいって言ってるんだけど」
「番号?」俺は聞き返した。
いつかのように、丁度俺は昼を食べ終わったところだった。
今日は250円のかしわ飯とかけうどんのセットだった。200円分財布が重くなった。
「ん、なんか、にいともメールしてみたいんだってさ」
「ならアドレスでいいだろ。なんでわざわざ」
「あの子なりに、こだわりみたいなものがあるんじゃない? 私の時もそこから始まったわけだし」
分かったような、分からないような。曖昧だ、と思った。
「じゃ、教えとくよ?」
「ああ」
夜、彼女から電話がかかってきた。
風呂に入って、夕食を終えて、部屋に戻った時のことだった。
机の上で振動する携帯。手に取って画面を覗いてみる。見知らぬ番号が表示されていた。
少し考えて、思い当たった。
「はい」
『もしもし、あの、わたし』
女の子の声だった。
『真樹さんとメールしてる……』
「ああ、分かるよ」
静かな声だった。真樹から聞いていた彼女の話、その印象通りにふんわりとした声だった。
「それで」俺は言った。「どうして俺に? 電話なら、真樹にすればいいだろう?」
冷たい言い方になってしまったことを、俺は言ってから後悔した。
『あの、ごめんなさい』
「いや、こっちこそごめん」俺は素直に謝った。「その、迷惑とかそういうことじゃないから。本当に。ただ、どうして俺なんだろうって思って」
いくら真樹が俺のことを話題にしていたとはいっても、結局はただそれだけ。
これまで俺とこの子の間に直接の関わりはなかった。
『それは、あの』
言いにくそうに彼女。
『わたし、真樹さんには秘密にしてたことがあって』
「ああ」と俺は答えた。「何となく、分かってた」
『ですか?』
「ああ」と俺は答えた。「それが何かは、分からないけど」
『ですか』と彼女は言った。『分かっちゃってましたか』
電話ができない理由、あるいは、したくない理由。
「どうして、真樹とは電話できないんだ?」
『わたし』
少しおいて、彼女は言った。
『真樹さんの声を聞いたら、きっと、泣いちゃうから』
じゃあ泣けばいい、と俺は思った。
でも、口にはしなかった。
『わたし、もうすぐ死んじゃうんです』
彼女は言った。
俺は驚いた。彼女が真樹とは電話しない理由をいくつか考えていたけれど、彼女の言葉はその中に含まれていなかった。
『どんどん、身体は弱っていって。でも、わたしは最期まで元気なわたしでいたかった。文字の中でならそれができたんです』
「それで、自分のことを知らない誰かにメールを送った」と俺は確認した。
『はい』彼女は認めた。『勝手ですよね、わたしって。突然メールを送りつけて、仲が良くなったら今度は突然いなくなって』
確かに、と俺は思った。でももちろん、それを言葉にしたりはしない。
「そんなことない。真樹は真樹で君とのメールを楽しんでる。それに」
彼女が真樹に送った最初のメールを思い出す。
――友達になってもらえませんか?
どんな気持ちで、彼女はその14文字を打ったのだろう?
「友達なら、少しの勝手ぐらい許されるよ」
電話の向こう、息を呑む声が聞こえた。
どこまでがただの知り合いで、どこからが友達なのだろうか。曖昧だ、と俺は思った。彼女にとって真樹はもう友達なのだろう。じゃあ、俺は?
『だとしたら』
彼女が、微笑んだ気がした。
見えないけれど、でも、何となくそんな気がしたんだ。
『すごく、嬉しいです』
返信が来ない。真樹は言った。
俺は電話をかけた。彼女が亡くなったことを聞かされた。
真樹にそのことを伝えた。真樹は言葉を失って、ただ俺の言葉を聞いていた。
きつい仕事を残してくれた。俺はもういない彼女を思った。
瞼を開くと、陽の眩しさに少しくらりとした。ずっと目を瞑っていたからだろう。
胸の前で合わせていた両手をゆっくりと離す。随分と長い間そうしていたつもりだったが、それでも真樹は俺よりもさらに長く、今もまだ隣で手を合わせ続けていた。
じーじーじー。蝉の声が聞こえた。それが虚しくて、俺は両手できつく耳を塞ぎたくなった。
三分程経った頃、真樹の両手が離れた。
「長かったな」
「ん、ちょっと思い出してた」
幾つもの墓石が並んでいた。動くものは俺と真樹の二つだけだった。その俺たちも今は動きを止めている。
青く広がる空の下、空気の流れは見えない。
突然、真樹がバッグから携帯電話を取り出した。
「おい」
真樹の行動を注意するつもりで、俺は短く声をかけた。
「大丈夫。電話するだけ」
「誰に?」と俺は訊く。
「彼女」と真樹は短く答える。
俺は真樹の顔を見た。多分、驚いた顔をしているんだと思う。
真樹は俺から視線を外して、正面を向く。
そうして、彼女と、正対する。
『おかけになった電話は、電波の届かない場所にあるか電源が入って……』
ひどく機械的な音声は、隣にいる俺にまで漏れて聞こえた。
真樹が、ふう、とため息をついて、言った。
「やっぱり、かからないね」
「だろうな」と俺は答えた。
今の真樹の行動にどんな意味があったのだろう。
俺は考えた。
すぐに、意味なんて無かったんじゃないかと思った。
「あ」
一瞬、真樹は目を見開くと、閃いたように言う。
「でもさ、誰かが、新しくその番号を使うことになったら」
「ない」と俺は短く言った。
「え?」
真樹の戸惑ったような表情。俺は電話をした時にこの子の母親から聞いていたことを話すことにした。
「この番号、保存するらしい」
「え、そんなこと……できるの?」
「普通はできない。けど、どうやらこの子の家族は、これからも料金を払っていくつもりらしい」
「うそ」驚いたように真樹が言う。「ほんとに?」
「ああ」
「……そっか」
娘の使っていた番号を保存しておきたい。
その気持ちは痛く分かるような気もしたし、全く分からないような気もした。意味があるようにも、無いようにも思えた。
結局、人間なんてそんなものなんだろう。いつだって曖昧で、明確な答えを出せずにいる。
「私ね」
真樹は言った。
「結局、この子の声、最期まで聞いてないの。ねえ、にい。これって、すごく寂しいことだと思わない?」
俺は彼女の声を知っている。今でも鮮明に覚えている。
でも、その声を真樹に聞かせてやることはできない。
彼女と電話越しに話をした俺と、最期まで約束を守り通して電話をかけなかった真樹。
途中から結末を知っていた俺と、最期まで結末を知らなかった真樹。
彼女の声を知る俺と、知らない真樹。
どちらがいい、なんていうつもりはなかった。
「まるで蝉みたいだよな」
「蝉?」
「最期には輝いていられるように。だからお前には涙を聞かせたくなかったんだろう、彼女は」
じーじーじー。
蝉は今日も騒々しく鳴いている。
泣いているのではなくて、泣かないために、鳴いているんだと思った。
「だとしたら、この三ヶ月、彼女はずっと声を張り上げてたんだろう」
そしてそれを、真樹、お前だけが聞いていたんだ。続きは、留めておいた。
「最期には、元気な姿でいられるように?」真樹が訊く。
「多分な」俺は答える。
「そっか」
声が震えていた。真樹は泣いているようだった。
空を仰いだ。青が少しにじんだ。
携帯を取り出そうとして、やっぱり止めた。
『友達になってもらえませんか?』
彼女の涙を、聞いたような気がした。
お笑3 出展。79作品中14位。感謝感謝っ。
次回こそはトップ10入りをっ。
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